『Trello』とは、まるでボードに付箋を貼るように手軽にタスクを管理でき、チャットサービス『Slack』との連携などもできる大変便利なタスク管理用Webサービスです。
基本的な使い方はとても簡単です。
以上の基本的な使い方に加え、豊富なアドオンやアプリケーションがあり、視覚的、直感的に操作できることもあって非常に人気があるようです。
しかしこんな便利なツールを仕事に使うのは非常にもったいない。今回はそんな「Trello」を、今弊社で密かに人気のトレーディングカードゲーム『Magic: The Gathering』のデッキ構築に使ってみました!
『Magic: The Gathering』(マジックザギャザリング 以下『MtG』とします)は20年以上も前に発売開始された世界初のトレーディングカードゲームで、世界中にプレイヤーがいます。
「もっともよく遊ばれているTCG」というギネス記録にも認定されている、まさにカードゲームの王様なのです! 一度は遊んだこともある人も多いのではないでしょうか。
『Magic: The Gathering』日本公式ウェブサイト
『MtG』の魅力は、なんといってもその奥深さです。カードの種類は10000種を優に越えていて、そこからは無数の戦術・楽しみ方が生まれます。
『MtG』のゲームの背景には壮大かつ長大な物語があり、その断片はカードに散りばめられていたり、小説にもなっています。
さらに製造・販売をしている『ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社』はとてもユニークな会社で、普通では想像もつかないような”ぶっとんだ”カードを作ったりします(カードを破かないと効果が使えなかったり、対戦相手にジュースを買いに行かせたり……!)
そんなお茶目なところも、長い間多くのプレイヤーを虜にしている要因だったりします。
さて、『MtG』についてもっと色々語りたくなってきましたが、アツくなると長くなってしまうので本題に入りたいと思います・・・。
https://trello.com
からサインインしたら、早速ボードを作りましょう。
「Create new board」をクリックして、任意のタイトルを入力後に「Create」ボタンを押せば、新規ボード画面に移動します(ここではタイトルを「MtG_Deck」としました)。
ボードが完成したら、次はカードを入れるためのリストを作ります。
リストをつくる上で重要なのは、そのリストを何という名称にするかということです。
通常のタスク管理であれば、僕の場合は「作業中」「レビュー待ち」などの名称のリストを作ってタスクのステータス管理、あるいは「アイデア」というリストをつくりタスク化する前のメモなどとして使用したりしています。
それではカードゲームのデッキ構築に使う場合はどのようなリストをつくればいいでしょうか。
実際に自分でいくつか試してみたのですが、カードの色別、呪文タイプ別など様々な使い方ができ、目的によってはどれも有効でした。
そのなかでも個人的にデッキバランスが見やすく、使いやすいと思った「list=マナコスト」の使い方を紹介していきます。
「list=マナコスト」は『Trello』のlistを活用することで、マナコストごとの整理、調整をしやすくしデッキの「マナカーブ」を簡単に管理することを目的にしています。
説明がややこしくなってしまいますが、『MtG』でデッキをつくる上で欠かすことのできない「マナカーブ」という理論を簡単に説明します。
まず『MtG』には「マナ」という概念があります。
この「マナ」は、基本的には「土地」というカードから生まれ、呪文などを唱える時は大概は必要となります。ある呪文に必要なマナの数を『マナコスト』といい、ほとんどの場合、カードの呪文が強ければ『マナコスト』は多くなり、弱ければ少なくなります。
デッキのカードを「マナコスト」別にまとめてグループをつくると、図のように各グループのカード枚数の差異によりカーブができます。
これが「マナカーブ」です。「マナカーブ」は数学的確率論に裏付けられていて、これを基準にデッキを構築すると無駄の少ないデッキがつくれると言われています。
それでは、リストをつくりましょう。「Add a list」をクリックして、任意の名称を入力し「Save」でリストがつくられます。
ここではマナコスト別にリストを並べたいので、「cost=任意の数(x)」と名前をつけていきます。図のように「cost=1」から順に「cost=7」までつくります。それぞれの数字と同じ『マナコスト』のカードをここに入れていきます。
マナコスト別にリストを作ったら、その横に二つ、「land」と「pool」というlistを作っておきます。
「land」は『土地』カード、「pool」はデッキ入りの候補となるカードを入れておくといいと思います。
いよいよ、カードをつくっていきます。
名前の通り、『MtG』のカードの内容をそのまま「Trello」のカード(Card)にしていきます。
リストの下部にある「Add a card」をクリックするとテキストを入力できるようになります。
そこにカードの内容をコピペで入力して「Add」ボタンを押せばカードが作成されます。また、ドラッグ&ドロップで画像のアップロードもできるので、『MtG』カードの画像をそのままアップロードしたほうが楽かもしれません。
実際、大会などに参加すると相手が外国語のカードを出してくることが多いので、絵で覚えておくと便利です。
『MtG』のカードは色によってその能力の性質が異なるという特徴があります。テキストでつくる場合には『Trello』の「ラベル機能」を使いましょう。
『Trello』のカードをクリックすると右側に「Labels」というボタンがあります。こちらをさらにクリックして表示されるカラーパレットから色を選ぶだけでそのカードにラベルが追加されます。
ラベルにはテキストも追加できますし、新たな色を追加することも可能です。また、ラベルは複数色を設定できるので抜け目ないですね!
デッキは一回つくったらそれで終わりではありません。
他プレイヤーとの対戦のフィードバックを参考に日々ブラッシュアップしていくことが大切です。
その過程で、デッキから「pool」に、またその逆に、頻繁にカードが移ることになると思います。そうしているうちに、最初から全く動かず「pool」に止まっているベンチ未満のカードがあることに気づきます。
そのような、長い間更新されていないカードを区別するのに「カード老化機能」が役立ちます。
「カード老化機能」によりベンチ未満のカードをビジュアルとして分かりやすくし、『Trello』の中にあるいらない要素を整理しておけば、デッキ構築がシンプルで効率的になります。
「カード老化機能」はボードの右側に小さく「Show Menu」とあります。その中のメニューにある「Power-Ups」を開いてみましょう。
「Card Aging」の「Enable」ボタンをオンにしておけば「カード老化機能」が使えます。
「Scrum for Trello」は、それぞれのカードに数字を割り振っておくことで、リスト内の数字の合計値を表示してくれるという”Chrome専用”のアドオンです。
「Scrum for Trello」はこちらから、Chromeに追加できます。
『マナコスト』を管理していく上で、この「Scrum for Trello」はとても重要です。
この機能は本来、タスクの「重さ(見積もり時間)」を管理するためのものです。しかし、それをそのまま「カードの枚数」に置き換えることでデッキ構築にとても役立ちます。
カードを開き、タイトルを入力しようとすると「Scrum for Trello」の数字が現れます。
「Scrum for Trello」でカードの枚数を入力しておけば、どのコストのリストに何枚のカードがあるかが一目で分かるのです。
それらの値は『マナカーブ』の頂点です。この値を見ながらカード枚数、『マナコスト』を調整すればきっと無駄の少ないデッキが作りやすくなるはずです!
ここまでで、『MtG』デッキ構築に使えそうな「Trello」の利用法と、ちょっとした便利機能を一部紹介しました。
今回紹介した他にも、「これやったら面白そうだな」と思っているものもあります。例えば、「Hubotと連携させればランダムに手札をシミュレーションできるかも」とか「TrelloPrinterで印刷して、プロキシカードのように発売前のカードで予習する」などなど・・・考えるだけでワクワクしますね!
今後も「Trello」のようなツールの変な使い方を思いついたら書きたいと思います。また、他にも面白いツールや使い方を知っている方、是非教えてください!
昨年末頃に弊社内で『MtG部』なるものが立ち上がったのですが(というかそれが全ての発端だったのですが)、最初の部活動で初心者に負けてしまい、二番手くらいにはなれるだろうとタカをくくっていた僕はすっかり希望を失ってしまいました。
そんな中で自分のデッキを見つめ直すために『Trello』活用を思いつき、続けた結果、今では強そうな人たちにたまに勝てるくらいになりました。
負けても諦めずに、勝つために何をすればいいか考える事の大切さを、『Magic: The Gathering』が教えてくれたのです。問題解決に向けた論理的思考を鍛える上でも、『MtG』は有効なのです。
株式会社カイユウでは、『Magic: The Gathering』が大好きなエンジニア・デザイナーを募集しております。
新しくってPOPな大好き! というエンジニア/デザイナーの方!
一緒に『MtG』で世界を目指しませんか?